外国語を母語に持つ児童・生徒の学びをサポート!啓林館のマルチリンガル教科書

インタビュー

2022/04/01

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2022/04/01

外国語を母語に持つ児童・生徒の学びをサポート!啓林館のマルチリンガル教科書

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日本には10万人をこえる小・中学生の外国人の子どもがいるといわれています。日本語以外の言語を母国語に持つ児童・生徒にとって、日常生活上は問題なく日本語が話せても、学習に使われる言語理解は難しく大きな課題の1つとなっています。

教科書出版会社としておなじみの株式会社新興出版社啓林館様では、モリサワの多言語ユニバーサル情報配信ツール「MCCatalog+(エムシーカタログプラス)」を活用した新しいサービス「啓林館マルチリンガル教科書」を展開しています。本サービスは、同社の小・中学生用教科書の内容を多言語表示することで、日本語以外の言語を母国語に持つ児童・生徒が日々の授業や予習・復習に取り組む際のスムーズな理解をサポートするデジタル教材になっています。

 

 

今回はマルチリンガル教科書の開発に携われた同社の書籍学参事業本部 書籍学参事業企画部 部長の坂本様にお話を伺いました。

 

Q.マルチリンガル教科書をリリースされたきっかけをお聞かせください。

 

弊社では、以前より算数・数学の英訳教科書を制作、発刊してまいりましたが、教育委員会や学校現場からは、「英訳だけでなく他言語でも発刊してほしい、算数・数学以外の教科もほしい」という声が大きくなってきました。特に中京圏や関東、特定の地方都市でも外国の方が移住されたり、従業員として働かれたりするなかで、お子様もいっしょに来日されることが多くなってきたと思われます。

英訳教科書の制作は、日本語版教科書の内容が確定してから、日本の文化や教科教育特有の表現に配慮しながら翻訳・制作をしなければならず、どうしても時間とコストがかかるうえに、日本語教科書の供給からタイムラグが生じてしまいます。そうしている間に、英語以外の言語ニーズが非常に高まり、英語ニーズを大きく上回るようになりました。自動翻訳ゆえの課題もありますが、それよりもユーザーニーズにこたえるスピードを優先し、日進月歩の自動翻訳性能の向上にも期待をしました。
日常生活でも外国人の方と活動する機会も増えていくことが予想されることから、近い未来の日本を共につくっていくためにも、土台となる教材を早く提供したほうが良いと考えました。

 

 

また当社では、SDGsという言葉が生まれる前から「持続可能な開発のための教育(ESD)」に意識して取り組んできました。古くはリサイクル用紙や環境対策ダイズ油インキの活用からはじまり、現在では「わくわく学習教室」などの教育活動そのものや、教科書・教材を通してSDGsに取り組んでいます。
マルチリンガル教科書は、日本語をスムーズに読み進められない外国籍や帰国子女の児童・生徒の学びをサポートする教材で、SDGsの目標である「④質の高い教育をみんなに」や「⑩人や国の不平等をなくそう」を大きなテーマとして取り組んでおります。

 

新興出版社啓林館さまのSDGs取り組み事例はこちら

 

Q.マルチリンガル教科書をご利用の教育現場での声がありましたらお聞かせください。

 

まずは、子どもたち自身より、ご両親の日本語理解に課題があることが多いため、家庭で学習内容をご家族に知っていただくのに有用と聞いております。また学校では、対象の子どもたちの言語能力や学力がさまざまであるため、学習内容の共通理解を得るために便利との声もいただいています。
マルチリンガル教科書で採用している多言語対応ビューア「カタログポケット」は、全国でたくさんの自治体の情報配信に使われていますが、今後は有料コンテンツなども配信できる仕組みや機能があると、もっと普及すると思います。

 

 

<マルチリンガル教科書にてポルトガル語表示>

 

Q.教育のICT化が進んでおりますが御社のお取り組みはいかがですか

 

コロナ禍で文部科学省のGIGAスクール構想やその実証研究などが加速実施され、今までとは異なる次元で教育のICT化が進んでいます。これからは、紙教材の良さ、デジタル教材の良さを検証、確認していく段階に入っていくと思われます。
そんな中、弊社では小学校、中学校、高校用のデジタル教科書を発刊すると同時に、一人ひとりの子どもたちの学びに対応した、個別最適化をめざすデジタル教材の開発・提供も続けています。KEIRINKAN DX シリーズ」では、個別最適化に加えて先生方の働き方改革を支援する教材・サービスも提供しております。

 

また「スマートレクチャーコレクションは、啓林館の高校英語教科書・教材に対応した「解説動画」と海外居住の外国人講師によるライティングの「添削」で英語学習者のアウトプットを促進する 「オンライン英語 動画・添削サービス」です。同時に、現地の外国人講師の雇用の一助にもなっています。

 

マルチリンガル教科書についてはこちら

 

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