新型コロナウイルスのワクチンが到着し、医療従事者への接種がはじまりました。今後は高齢者、基礎疾患を持つ人などが対象となり、ゆくゆくは一般の人も受けられるようになるとのことです。高齢者への接種は4月からを予定しているとのことですが、問題となるのが接種会場までの〝足〟です。都市部のように交通が発達していないエリアでは、どのように接種を進めるかが課題です。
ワクチン接種を支援する民間サービスの登場
静岡市が当面ワクチン接種の対象としているのは、65歳以上の高齢者約22万人です。かかりつけ医での個別接種や集団接種をメインとしながらも、山間部では巡回接種をおこなうとしています。また自家用車や公共交通機関で病院へ行くことが難しい高齢者に対しては、タクシーの活用を検討しているとのこと。割引券の配布も視野に入れていて、これによって少しでも経済を回復させたいという狙いもあります。
高齢者のワクチン接種を促す動きは、民間からも出ています。千葉や東京でバス・ハイヤー事業を展開する「なの花交通バス」は、自治体や医療機関に向けた「ワクチンバス&ワクチンハイヤー」の運用を開始すると発表しました。
ワクチンバスは高齢者や車イスの人でも利用しやすいようリフトバスとなっているほか、電源コンセント、冷蔵庫、フリーWi-Fiなどを搭載。接種後は別のバスに移動し、車内で経過観察できるようにもします。
静岡市のようにタクシーの割引券を発行する以外にも、民間のこうしたサービスを取り入れることで、高齢者のワクチン接種は円滑に進められそうです。
公道で運行する自動運転バス
- ワクチン接種を目的とした取り組みではありませんが、駅がない茨城県境町ではソフトバンク子会社のBOLDLY(東京・千代田)などと協力し、2020年11月に自動運転バスの定常運行を開始しました。自動運転バスが公道で定常運行するのは国内の自治体では初になるとのことで、5年間という長期にわたって実施するとしています。
自動運転バスは、町の中心的な観光拠点「河岸の駅さかい」から、ホールなどを備えた公共施設までの約5kmを走行。その間にある病院や郵便局、役場、銀行、小学校、子育て支援センターで乗り降りすることもできます。
境町が5年間の自動運転バスに計上した費用は5億2,000万円。車両費以外にも、保安要員や監視員といった人件費、システム費などが必要となるとのことです。既存のバスがいつ路線廃止になるともわからず、補助金などを使って路線の維持に努めるよりも、自動運転バスに活路を見出そうと決めたとのこと。こうした取り組みも、高齢者の〝足〟となるはずです。
日頃からの情報収集や情報発信が大切
コロナ禍では新しい生活様式が求められますが、高齢化や過疎化が進む地域では、都市部とはまた違った課題があるでしょう。1つの自治体だけでは資源に限りがあるものの、近隣の自治体と協力をしたり、民間の力を借りたりすることで、解決の糸口が見えてくるかもしれません。
いい出会いを生むためにも、日頃から情報収集や、情報発信には力を入れたいものです。思わぬきっかけでコラボレーションがはじまったり、場合によっては〝救世主〟が現れたりするかもしれません。
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