コラム
2020/11/30
教育のデジタル化を推進するために
政府は来年度から、ICT関連企業のOBをはじめとする人材を、全国の学校へ派遣すると発表しました。将来的には、約100万人いる小中高の全教員が遠隔授業を実施できるようにするとのこと。コロナ下でオンライン指導が不可欠となったいま、国と自治体の連携がさらに求められそうです。
教員のデジタル指導力を育成する
昨年12月、国は「GIGAスクール構想」と称し、2023年度までに児童生徒1人に1台、学習用端末を配布すると公表しました。実施までにはまだ3年ありましたが、その計画を前倒しし、2020年度末には小中の児童生徒全員に端末を配布すると改めています。
GIGAスクール構想の予定繰り上げを後押ししたのは、やはり新型コロナウイルスです。2018年、経済協力開発機構(OECD)が各国の学校へ実施した調査によると、「校内のネット環境が十分である」と回答した日本の学校の割合は、36.5%と、OECD加盟国の平均67.2%を大きく下回りました。その実態がコロナ下によって浮き彫りとなり、計画を早めることとなったのです。
実際にコロナ下の休校中、公立小中高で同時双方向型のオンライン指導を実施できた自治体は、わずか15%だったといいます。たとえパソコンやタブレットなどが整っていたとしても、教員がデジタル指導に不慣れなため、実施できなかった学校もあったとのこと。端末などのハード面はもちろん、教員のデジタル指導力といったソフト面も整えていかなくてはなりません。
将来的には全教員がデジタル指導を可能に
政府は2021年度から「GIGAスクールサポーター」として、ICT関連企業のOBら最大9,000人を国公私立の小中高に派遣するとしています。ICTスキルに長けた人たちの派遣にかかる費用を自治体に援助しながら、オンライン学習用の、機器やソフトの使い方を教員に指導。学校のデジタル化を支援していきます。
それだけではなく、「ICT活用教育アドバイザー」として大学教員らも学校へ派遣。子どもの学力や年齢に応じた指導法、効果的な端末の使い方などをアドバイスするとのことです。将来的にはデジタルに関する専門科目を大学で履修させるなど改革を進め、すべての教員がデジタルスキルを身につけられるようにしていく構えです。
- オンライン指導に不慣れだった自治体のなかには、積極的にそれらを活用しはじめるところも出てきました。オンライン授業を経験したことのある教員が少なかった大阪府箕面市では、市の教育委員会がICTに詳しい大学教員を招聘。オンライン授業に関してレクチャーを受けた職員が市内の各学校を回り、ICTを用いた教え方などをアドバイスしています。
そして同市では5月末からは、同時双方向型のオンライン授業を本格的に始動。子どもたちは、夏休みの間もオンラインで授業を受けられたとのことです。
さまざまな分野でデジタル化の遅れが取り沙汰されている日本ですが、教育面においてもその対応は急務です。ただ、国がいろいろと整備をしていっても、実際に現場で指導する教員の人たちの意識やスキルが伴わなければ、なかなか前には進まないでしょう。
自ら逃げ道をなくすことで、本腰を入れて取り組めるケースもあります。住民の方々に「うちの自治体では、デジタル教育に積極的に取り組みます」と先に宣言してしまうことも、1つの有効な手段かもしれません。
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