新型コロナウイルスの感染者が再び増えはじめ、ワクチンや治療薬の開発が待たれるところです。状況がなかなか進展しないなか、デジタル化が遅れているといわれる日本の行政において、積極的にIT技術を活用しはじめる自治体も出てきました。学びの遅れが心配な教育や、継続的な市政に欠かせない採用活動に的を絞り、特徴的な取り組みをみていきます。
自宅学習を支援するデジタル教材
コロナによって学校は休校を余儀なくされました。学びの遅れを取り戻そうと、多くの自治体は夏休みや冬休みを削る決定をしています。
そんななか大手印刷会社の大日本印刷は、小中学校向けとしてすでに提供しているデジタル教材「リアテンダント」に、「評価分析機能付きテストシステム」を新たに搭載しました。この機能は教員がパソコンで作ったテスト問題を、生徒がタブレット上でタッチペンを使って解けるというもの。問題は選択式だけでなく記述式も出題できるため、多彩な角度から子供の学びを支援することができます。
また解答は設問ごとに一覧で表示されるため、教員は答案用紙を1枚1枚めくってチェックする手間が省け、採点の負担軽減につながります。実証実験によると、1教科当たりの採点時間を約6割削減できたということです。
テスト結果の分析や評価は、AIがおこなってくれるというのもポイント。教員はその分析結果をもとに、生徒一人ひとりの学力に応じた指導が可能となります。
「リアテンダント」はすでに奈良県奈良市や千葉県南房総市など複数の自治体に採用されていて、来年度は1,000校への導入を目指すということです。“新しい生活様式”において、こうした教材は自治体の助けとなってくれるのではないでしょうか。
オンラインで採用情報を発信する市
コロナ禍とはいえ、今後の行政のためにも採用活動を止めるわけにはいきません。大阪府豊中市は採用に関する情報発信のためのTwitterを5月に開設。6月にはYouTube上で説明会を実施しています。その結果、一般事務職の申込者数は1,420人と、大幅に増えたということです。
- 京都府福知山市は、6月からOB・OG訪問をオンラインシステム「Zoom」で開始しました。リアルでは難しい状況となっているOBやOGとの面談も、Zoomであれば気軽におこなうことができます。今後は通年で受け付ける予定ということです。不景気になると公務員人気が高まりますが、その期待に応えられるよう、ネットを上手に使った活動も必要といえそうです。
媒体を吟味してターゲットに届ける
教育であっても、採用であっても、新しい施策を生み出すポイントは、目的をはっきりさせ、それを達成するためにはどうすれば良いかを検討する、ということに尽きるでしょう。
さらには新しく生み出した施策の情報を、ターゲットとなる人たちへいかに発信するかということも重要です。豊中市は採用に関するバナーをサイトのトップページに設置し、民間企業が多数導入している適性検査(SPI3)を、新たに採用したことを発表しています。
ホームページのほかにもSNSや動画サイト、広報誌など、さまざまな媒体があります。それぞれユーザー層や特性が異なりますので、発信する内容や届けたい相手に合わせ、より適切な媒体を選ぶことが求められます。
- 当社の提供している「MCCatalog+」は、広報誌や観光案内、フリーペーパーなどを簡単にデジタル化・多言語化して、スマートフォンやタブレットに配信することが可能です。地域や自治体に関する情報を効果的に発信することができます。