新型コロナウイルスの影響によってリモートワークが浸透するなど、働き方の多様化が加速しています。なかでもこれから脚光を浴びそうなのが「ワーケーション」で、企業誘致に力を入れる自治体も増えてきました。具体的にはどのような取り組みがおこなわれているのか、和歌山県と三重県の事例をもとにお伝えします。
アメリカで生まれたワーケーションが日本でも
ワーケーションとは「work」と「vacation」を組み合わせた造語で、リゾート地などに滞在しながら仕事をすることをいいます。リモートワークとは、会社ではなく自宅やサテライトオフィスなどで仕事をすることをいいますが、その1種であるワーケーションは特に「仕事と休暇を組み合わせる」のが特徴です。アメリカで2000年代に広まったこのスタイルは、有給休暇の取得率が低い日本企業にとって、有休取得を促進する働きもありそうです。
日本では、和歌山県が2017年度にスタートしたことをきっかけに知られるようになりました。同県のリゾートエリアである西牟婁(にしむろ)郡白浜町では、2019年5月にワーケーション用オフィスを提供するなど、着々と広がりを見せています。一方、国内全体の動きとしては、2019年11月、65自治体によって「ワーケーション自治体協議会」が発足。今年3月時点では83自治体(1道8県74市町村)にまで増えています。
本格的にワーケーションへ乗り出す三重県
三重県も、企業のワーケーションを積極的に後押ししようとしている県の1つです。2020年度は、伊勢志摩を中心とした県内数か所の観光地をモデルエリアに選出。首都圏の企業を対象に、秋からモデルエリアへの誘致をおこなう計画です。受け入れにあたっては、県が各市町のほか、地元のNPO法人や民間業者らを支援。ネット環境を整備したり、交通の利便性を高めたりしていきます。
実際にどのような働き方を想定しているかというと、誘致企業の社員が1〜2週間の休暇を取得して、県内約40(3月上旬時点)のホテルや旅館に滞在。コワーキングスペースなどを利用して、リモートワークやオンライン会議をおこないます。また三重県としては、食の交流イベントや体験プログラムなど、アクティビティーの充実にも力を入れる考えです。
アイデア次第で広がる可能性
今年は世界的スポーツイベントが開催予定でしたが、三重県のこの取り組みは、都心の混雑緩和に一役買うのが狙いでした。ところが新型コロナが発生したため、観光地の再生などに向けた事業へと方向転換しています。今秋から首都圏の企業を受け入れるにあたっては、オンラインセミナーなどを通じてPRするほか、各市町との連携を深めて受け入れ態勢を強化しながら、企業とのマッチングサイトを開設するとのことです。
働き方やライフスタイルが大きく変化しようとしているいま、「自然豊かな場所で、休日を楽しみながら仕事もしたい」というニーズは、今後高まることが予想されます。それぞれの自治体の強みを活かし、ワーケーションの後押しを検討してみてもいいかもしれません。
- 伊勢志摩のように風光明媚な土地でなくても、チャンスは大いにあるはずです。例えば農業や林業体験、船釣りイベントやグランピングなど、アイデア次第で面白い取り組みが生まれるでしょう。そしてせっかく新しい事業を始めるのであれば、広報誌など様々な媒体を使って、広く世間に周知することも重要です。
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