5月25日に緊急事態宣言が全都道府県で解除されました。しかしながら、コロナ以前とまったく同じ暮らしに戻るかというと「同じには戻らない」という見方が多く、私たちは新たな日常を迎えることとなりそうです。第2波の襲来も懸念されるなか、自治体においても柔軟な対応が求められそうです。
出勤者を7割削減したむつ市
ウイルスは人を介して感染するため、政府や専門家は人と人との接触を8割減らすよう求めてきました。当初はあまり進んでいないように見受けられたリモートワークもさまざまな企業で導入され、緊急事態宣言発令後の各地の人の数は大幅に減少しています。渋々ながら導入したリモートワークが「意外にも効果的だった」という声は、TVやネットなどでよく聞かれました。
自治体のなかには「リモートワークは民間だからできること」と捉える人もいるかもしれませんが、青森県むつ市ではリモートワークによって「出勤者7割削減」に成功しています。市役所に出勤しなければ成り立たないであろう自治体の仕事ですが、7割削減できたというのには目を見張るものがあります。
できることとできないことを仕訳する
- 同市がまずおこなったのは、リモートワークができる部署と仕事を洗い出すことでした。たとえば出社しなくてもできる会議はオンラインに変更しつつ、リモートワークをおこなううえでの“壁”を抽出したのです。壁の典型的な例が「ハンコ」です。
むつ市は書類の共有と実質的な承認手続はオンラインツールでおこない、出勤した際にまとめて押印するという方法をとりました。もちろん個人情報や機密性の高い情報など、市が守秘しなければならない情報のセキュリティレベルを下げたり、自宅に持ち込んだりといったことはしていません。在宅でできること、できないことをしっかり切り分けたうえで、対応したのです。
市民の理解を得る重要性
「アフターコロナを見据えた戦略」を打ち出した三重県も、リモートワークを推進するほか、ビッグデータを活用した感染対策をおこなうなど、「Smartな自治体変革の先陣を切る」と表明しています。そうした動きを支援するツールはさまざまありますので、これから計画を練ろうという自治体は、まず情報収集からはじめてみるのもいいかもしれません。メジャーなところでは、オンライン会議システムの「ZOOM」や、電子契約の「クラウドサイン」などがあります。
さらには、市民の理解を得ることも重要だといえるでしょう。むつ市は庁舎が感染源になるわけにはいかないこと、そのため職員をリモートワークにしていて一部のサービスに遅れが出ていることを、市長がしっかり伝え、理解を得ています。現状の対応策とその意図をわかりやすく伝えることで、市民の協力は得られるはずです。
すでに制限を解除しているドイツや韓国では、再び集団感染が発生したと報告されています。日本でも一旦は落ち着いたコロナですが、第2波が来ることを想定し、この時期にいかに準備をしておくかが大きなカギといえそうです。自治体も従来の在り方にとらわれず、コロナをきっかけに臨機応変に対応する姿勢が求められるのかもしれません。
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