2018年の世界のeスポーツ市場は約900億円といわれ、広がりをみせています。日本には、ヒットタイトルを持つゲームメーカが多いにもかかわらず、eスポーツに関しては出遅れている感が否めません。それでも最近は徐々に動きが出てきていて、eスポーツをまちの活性化につなげている自治体もあります。観光資源などに恵まれなくても人を呼び込める可能性のある、eスポーツの潜在力を探ります。
国体の競技としても採用されているeスポーツ
行政主催のスポーツ大会である国体に、eスポーツが取り入れられているのをご存じでしょうか。2017年の愛媛国体では『実況パワフルプロ野球』(パワプロ)を競技種目として、愛媛県内の16チームが争いました。翌年の福井国体でも『パワプロ』が採用され、福井県内の14チームが競っています。
そして昨年おこなわれた茨城国体では、全国初となる都道府県対抗のeスポーツ選手権「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019 IBARAKI」が開催されました。競技種目に選ばれたのは、パズルゲーム『ぷよぷよeスポーツ』、サッカーゲーム『eFootballウイニングイレブン2020』、レーシングゲーム『グランツーリスモSPORT』の3つです。
都道府県対抗のため、開催前には各地で選考会がおこなわれました。日本eスポーツ連合(JeSU)が地方支部を設置している自治体ではJeSUが主体となり、JeSUが存在しない場合は商工会議所の青年部などが手探りで大会を実施。各都道府県の代表がつくば国際会議場に集結し、熱いバトルを繰り広げました。この大会を通じて全国各地でeスポーツ競技がおこなわれたこととなり、今後のさらなら普及が期待されます。
様々な動きが各自治体でも
その他の地方でも、eスポーツの動きが起こっています。富山県では、2016年から「Toyama Gamers Day」(TGD)という大会を開催。発起人はゲーム好きの仲間数名でしたが徐々に大きくなり、昨年は富山県や富山テレビ放送が主催者となったほか、高岡市や魚津市などが後援、地元を中心とする26の企業・ブランドが協賛しています。
同じく北陸の金沢市は、2018年度にeスポーツ振興のための予算を計上しました。大会を開催するにあたっての人材育成や、ゲーム関連企業の誘致が狙いです。また、さいたま市には「さいたま市民シルバーeスポーツ協会」が2018年に発足。eスポーツを健康増進のための手段と捉え、シルバー世代をターゲットとした斬新な取り組みをおこなっています。
多くの可能性を秘めるeスポーツ
- ゲームメディア事業を展開する株式会社Gzブレイン(現:株式会社KADOKAWA GAME Linkage)によると、2017年の日本のeスポーツ市場は3億7,000万円でしたが、2018年にはなんとその約13倍となる48億3,000万円にまで成長。2022年には100億円近くになると見込んでいます。
また、さいたま市民シルバーeスポーツ協会が実践しているように、eスポーツは体力に自信のないシニアでも楽しむことが可能。世代を超えたコミュニケーションツールとしても活用できます。さらに大会を開催すれば、ゲーム好きな若者たちにまちの存在をアピールすることができるでしょう。まだまだ日本ではスポーツとしての認識が薄いeスポーツですが、取り組み方次第では他の自治体との差別化を図ることができそうです。
eスポーツ普及のために予算を計上したり、団体を立ち上げたりしたのであれば、市民にその情報を幅広く届け、まち全体でムードを醸成していく必要があります。市民も一体となって盛り上げられれば、その先には大きな成果がみえてきそうです。
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