開業件数が約6倍になった仙台市の取り組み

コラム

2019/12/31

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2019/12/31

開業件数が約6倍になった仙台市の取り組み

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人口減少に悩む自治体が人口を増加させるための施策は、アイデア次第でいろいろと考えられます。例えば「起業家支援」も、その1つ。新たに事業を興す人たちがたくさん集まれば雇用が生まれ、町が活気づき、人口流出を防ぐことにつながります。仙台市は「新規開業率日本一」を掲げ、さまざまな施策を実施しています。今回はその取り組みをご紹介します。

新規開業率日本一を目指して

東日本大震災以降、仙台市では職を失った人や主婦、若者など、世代も性別も違う様々な人たちが、新規事業を立ち上げたいと考えるようになりました。たとえ小さな規模であっても、自分たちの力で復興を成し遂げたい、そんな機運が高まっていったのです。
  
一方で、全国的にみても東北地方は震災前から少子高齢化が進んでいた地域であり、東北最大の都市である仙台市も大きな課題を感じていました。起業を目指す人たちを応援しながら、東北地方が抱える少子高齢化の課題も同時に解決しようと、仙台市は起業支援に力を入れるようになります。
  
2014年、「新規開業率日本一」「年間農業販売額100億円」など4つの数値目標を盛り込んで策定したのが、「仙台経済成長デザイン」です。その一環として、仙台市は「アシ☆スタ」という起業支援センターをオープンしました。アシ☆スタでは、中小企業診断士や行政書士、税理士といった専門家が起業や経営の相談にのってくれるほか、様々な支援機関と連携してセミナーなどを開催しています。
  
セミナーは「インターネット販促入門講座」「やっておくべきこと・知っておくべきこと」「開業手続きと契約書の基本」など、起業に関するあらゆる分野を網羅。初めての起業を、しっかり後押ししています。

起業家を支援する様々な取り組み

震災後、仙台市では女性の起業意識も高まっていきました。そのためアシ☆スタには女性相談員が常駐しているほか、女性限定のセミナーを開催したり、全てのセミナーに託児サービスを備えたりなど、女性に寄り添っているのもポイントです。
  
また、これから事業を始めたいと考える人と、すでにそれを実現している先輩経営者との接点を設けようと、「アシ☆スタ交流サロン」を2015年に開設。人気コーヒーショップのオーナーが、開業に至るまでの経緯や開業後の苦労話を語ったり、水産加工業でアジア市場に挑戦する経営者が壁にぶつかったエピソードを話すなど、先輩起業家の生の声を聞くことができます。

  • このサロンには、自由に利用できるミーティングスペースやオープンスペース、ビジネス書や起業に関する書籍などを揃えているのも特徴で、宮城県内で起業を予定している人または起業後5年以内の人であれば利用することが可能です。

アシ☆スタの開設前と後では、起業相談件数が約5倍に増えたほか、実際の開業件数も過去5年間で約6倍に急増。2016年度は、実に110件以上の事業が生まれています。業種はタイ式マッサージや文具店、英会話スクールなど多岐にわたっていて、本当に様々な起業家を支援しています。

戦略や構想の立案時には広報手段も考えるべき

仙台市がこうして起業家支援で目覚ましい成果を出しているのは、「新規開業率日本一」という大きな目標を掲げたことから始まっています。結果を測定できる明確な目標を打ち出すことで、そこを目指して計画を立て、行動を起こすことができますし、得られた結果をベースに振り返りや改善もしやすくなるのです。
  
また仙台経済成長デザインのような素晴らしい計画や、アシ☆スタのような便利な施設があったとしても、広く市民に伝わっていなければ、なかなか成果に結びつかないもの。新たな戦略や構想を打ち立てるのであれば、多くの人にそれを伝える広報手段も、一緒に考えたいものです。

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