ITを上手に活用することで住民の足を確保

コラム

2019/07/31

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2019/07/31

ITを上手に活用することで住民の足を確保

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限られた予算のなかで、いかに観光客を呼び込み、いかに有効なサービスを住民に届け、いかに暮らしやすい町づくりをおこなうか。各自治体のみなさんは、日々頭を悩ませていることと思います。例えば交通網の発達していない地域においては、「住民の足の確保」も課題の1つに挙げられるでしょう。今回は予約に応じてバスを走らせる「デマンドバス」を導入した、長野県飯綱町(いいづなちょう)の事例を紹介します。

交通空白地域0%を目指して

長野県上水内郡飯綱町は、りんごや水稲をはじめとする農業を基幹産業としていて、人口は約11,000人。予算規模は約143億3,000万円です。この町では人口減少により、路線バスの廃止が迫られていました。それまでは町の補助金でまかなっていたものの、維持することが難しくなったのです。
  
東西に長く、山間地域も多い飯綱町の住民のなかには、路線バスの廃止によって大きな影響を受ける人も少なくありません。当然ながら、住民からは「存続してほしい」という声が挙がりました。町が検討を重ねた結果、導入することとなったのが、住民の予約に合わせて自在に運行する「デマンドバス」です。
  
デマンドバスが日本で最初に登場したのは1970年代といわれていて、その後、全国のいくつかの地域で導入されています。路線バスに代わる何かをつくらなければならない、という課題を解決するために、飯綱町が掲げた方針が「交通空白地域0%」です。新しいサービスを開発することで、交通機関を利用できない地域を無くすことを目指したのです。

公共交通費を年間250万円削減

  • 飯綱町がニーズを調査したところ利用が想定されるのはやはり高齢者が多く、バス停まで移動することが難しいという人も多くいました。そこで採用することとなったのが、事前予約のあった利用者の家までバスが迎えに行くというシステム。予算に制約があるなかで持続的にこのシステムを運用するには、効率化が最大の焦点となりました。

いろいろ協議を重ねた結果、導入したのが電話とコンピュータの統合システム、そして業務用カーナビです。日々、利用者は変化しますが、予約した人たちの住所を打ち込むだけで、どういうルートで迎えに行けば一番スムーズに走れるかをシステムが自動で判断。それによって効率的に運行することが可能となりました。
  
デマンドバスを採用したことで乗客がいないバスを走らせるようなことはなくなり、町の公共交通費は年間約250万円の削減に成功。そして最大の目標であった「交通空白地域0%」も、無事に達成することができたということです。利用者アンケートでも、約8割が満足という結果となりました。

いかに住民に周知を徹底するかが大事

目標を掲げ、アイデアを練り、ITなどの技術をうまく活用することで、それぞれの自治体の課題を解決することはまだまだできそうです。またせっかくはじめたサービスであれば、住民に周知徹底を図ることも重要になってきます。情報発信という点においてもITなどの技術をうまく活用することが、ポイントになってくるのではないでしょうか。

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