参考にしたい美術館の広報戦略
美術館は私たちの日常を美しく彩り、豊かな気持ちにさせてくれます。浮世絵をテーマにしたものや、ガラス工芸をテーマにしたものなど、美術館(美術博物館)は全国に点在。その数は、なんと452(2011年時点)もあるというから驚きです。開館した時期を年代別にみてみると、1970年代に入ってからその数は少しずつ増えはじめ、70年代34館、80年代111館、90年代209館となっています。
80年代以降、急速に増えていくわけですが、それだけ日本が経済的にも精神的にも豊かになった現れといえるかもしれません。また、2010年の美術館への入館者数は33,395,000人となっていて、国民の4人に1人は年に1回美術館へ行った計算になります。一方、収蔵点数についてみてみると、1999年時点での総計は1,474,418点で、当時の1館あたりに換算すると、平均収蔵点数は4,622点となっています。
貴重な絵画やコレクションを大切に所蔵している、といっただけでも美術館の機能は果たしているかもしれませんが、できるなら多くの人の目に触れさせたいものです。一般的に、美術館がどのような広報や宣伝活動をおこなっているかというと、多いのは地方公共団体が発刊している広報誌の活用。ほかにも、テレビや雑誌をはじめとするマスコミへの情報提供などもあります。また、他館と積極的に連携を図っている美術館もあるようで、情報交換や広報協力などを活発化させているようです。
多言語化で好評を得ている東京国立近代美術館
近年では訪日外国人が大きく増加していることから、外国人への情報発信も欠かせません。日本で最初の国立美術館として1952年に誕生した東京国立近代美術館も、海外への情報発信に力を入れている美術館の一つ。一般的な美術館の約3倍となる、13,000点以上のコレクションを誇る東京国立近代美術館は、海外にプレスリリースを発信したり、東南アジア諸国で同館にまつわる番組をテレビで放映してもらうなど、対策を強化。その結果、2015年度からの2年間で外国人の来館者数は2万人以上も増えました。
- 外国人の来館者が増えたのは、作品解説の多言語化に取り組んでいることも、大きく貢献しているかもしれません。東京国立近代美術館は多言語化ツールを使い、作品解説を中韓日英の4言語で利用できるようにしました。来館者は手持ちのスマートフォンやタブレットを使って、好きな言語で作品解説を楽しむことができます。このサービスは「わかりやすい」「より作品に興味を持てるようになった」と人気です。
同館にこのアプリを提案したのは大日本印刷株式会社(DNP)。株式会社モリサワが提供する多言語化ツール「MCCatalog+」とその専用ビューア「Catalog Pocket」の仕組みは、音声読み上げ機能を搭載しているのも特徴で、読むだけでなく、聴くことで作品への理解を深めることできます。今後、訪日外国人観光客が増えるとともに、さらに多くの外国人が来館することが予想されるでしょう。美術館の多言語化対応は、海外への情報発信と同じくらい重要かもしれません。
東京国立近代美術館 MCCatalog+活用事例
- 当社の提供している「MCCatalog+」は、美術館や博物館などの案内を簡単にデジタル化して、スマートフォンやタブレットで閲覧することが可能です。訪日外国人に対してはもちろん、日本で暮らす外国の方々に対しても、「MCCatalog+」を使って大切な情報を発信してみてはいかがでしょう。