【専門家コラム Vol.30】農泊で台湾の修学旅行生を受け入れる青森県平川市の取り組み

コラム

2018/09/14

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2018/09/14

【専門家コラム Vol.30】農泊で台湾の修学旅行生を受け入れる青森県平川市の取り組み

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執筆:やまとごころ編集部

青森県南部にある人口約3万人の平川市で、「グリーンファーム農家蔵」が農泊を始めたのは2006年のこと。外国人観光客などいなかった地域に、今では台湾から年間150名の修学旅行生が訪れ、2017年には青森県で「ホスピタリティセミナー&おもてなしアワード」の最高賞である『おもてなしアワード2017 青森県知事賞』を受賞した。

日本人の修学旅行受入れ実績がインバウンドに繋がる

「グリーンファーム農家蔵」が農泊を始めたきっかけは、農家の経営状況が悪化したことだった。農家の所得向上と労働力の確保、そして地域の活性化の「一石三鳥の施策」として考え出したのが農泊だった。修学旅行を企画する旅行会社と連携し、生徒を農家で受け入れるシステムを構築。7年ほど前からは、青森中央学院大学内にある「アジアからの観光客誘致推進協議会」を窓口に、台湾からの修学旅行生を受け入れている。もともと青森県南部で受け入れていたのだが、キャパシティの問題と、海外参加者から津軽地方でも体験したいという声が上がったことで、平川市に声がかかった。日本人修学旅行生の受け入れ実績を積むと同時に、地域の活動にアンテナを張っていたことが、インバウンドへのきっかけとなった。

「ありのまま」に観光客が惹かれるのは、地元を思う人の熱意と努力あってこそ

台湾からの修学旅行生の農泊のプログラムは、国内の修学旅行生と変わらない。日中は受け入れ家庭で農作業体験をし、夜は食事の支度と後片付けなどの生活体験をするという内容だ。農泊では当初から、「お客様扱いしないありのままの受け入れ」を貫いてきた。初めて台湾からの受入れをする家庭にも、「国内の修学旅行生同様の対応をしてください」と伝えている。滞在中の行程も同じなので、段取りよくこなせており、言葉の壁はあるものの、通じないことを双方ともに楽しみながら意思疎通が図れている。

「人々のありのままの暮らし」が魅力的なコンテンツとして成立している平川市の農泊だが、「ありのまま」に受け入れてくれる家庭は、全て飛び込み営業で集めた。はじめは大抵断られるが、熱意を伝えて2−3年かけて受け入れてもらうという。現在では農泊受け入れ農家は125軒に上る。農家の発展のために始めた取り組みだけに、受け入れたい農家はいくらでもあるのかと想像しがちだが、そうではない。「ありのままの暮らし」の中に、客人を受け入れようと思ってもらうにはまず、その意義と喜びを伝え、不安を取り除かなくてはいけない。地域の中にいて、地域の事を思う人の、まっすぐな気持ちと努力があって初めて、「ありのまま」が、観光客に開かれる。

農泊と祭りのコラボで個人客を誘客

今後はインバウンド個人客の誘客も目指す。毎年夏に開催される「平川ねぷた」と農泊を組み合わせて、外国人観光客を呼び込みたい考えだ。青森県には40程のねぶた・ねぷた祭(地域によって発音が異なる)があるが、「平川ねぷた」は、大きな扇型の山車が壮観で、お囃子や踊りも充実した見応えのある祭りだ。今年はモニターとして、国内外の旅行会社を招待した。「ここまで地元の人との距離が近く、自然に迎え入れてくれる場所はあまりない」と欧州からの評判も上々で、誘客に繋がりそうだ。津軽平野南端の長閑な町は、ありのままに、世界からのお客様を迎える準備を着々と整えている。
  
取材協力:グリーンファーム農家蔵
取材協力:青森県平川市観光協会

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  • やまとごころ編集部

    株式会社やまとごころ メディア・コンテンツ事業部
    2007年より、インバウンドB to B 支援のための日本最大級のポータルサイト「やまとごころ.jp」を運営。「日本のインバウンドを熱くする」をモットーに、長年にわたりインバウンド業界に携わり続けた圧倒的な情報量と知見を活かし、インバウンド関連の最新情報を、日本全国のインバウンドに携わる企業・自治体の皆様に向けて発信し続けている。
      
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