いまこそ見直したい在住外国人への広報戦略

コラム

2018/07/02

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2018/07/02

いまこそ見直したい在住外国人への広報戦略

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「衣食住」から「医職住」へ

訪日観光客だけではなく、日本で暮らす外国人の数も増えています。そうしたなか、総務省は「多文化共生の推進に関する研究会」を立ち上げ、2年度にわたって検討をおこないました。その結果、「多様な言語、多様なメディアによる行政・生活情報の提供が重要」だという結論に至っています。
  
自治体のなかには、すでに多様な言語での情報提供に取り組むところもあります。たとえば公益財団法人 前橋観光コンベンション協会は、観光ガイド『まちたび まえばし』を多言語でデジタル配信。また公益財団法人 仙台観光国際協会はさまざまな言語でラジオ放送をおこなっています。そのほか図書館における多言語サービス、通訳および翻訳バンク事業など、さまざまな自治体が多様な言語、多様なメディアによる情報提供を推進しています。
  
さらに名古屋市営地下鉄では英語、韓国語、中国語、ポルトガル語による車内放送を実施。こうした取り組みは単にその言語を話す人たちにとって便利なだけではなく、地域住民に「この周辺には外国人が多く住んでいる」と、その存在に改めて気づかせる意味でも非常に有意義です。外国人の存在を再認識できれば、異文化を理解しようとする姿勢が一層高まるでしょう。
  
自治体が多言語化に対応するうえで意識したいのが、「衣食住」から「医職住」へと、在住外国人のニーズが変化していることです。短期滞在では「衣食住」に関する情報で充分だったのですが、永住を念頭に置いた在住外国人が増加するとともに、医療や就職に関する情報を含んだ「医職住」の必要性が高まっています。そして就職に関してであれば求人内容だけでなく、面接の受け方や履歴書の書き方といったことにも言及したいところ。実用的な情報を届けることで、在住外国人はもっと暮らしやすくなるはずです。

情報を「提供」するのではなく「共有」する

  • 在住外国人に対する広報活動は、単に「支援」に留まらないことも意識しておく必要があります。おおげさに言えば、自治体の広報は「外交」の一環ともいえるのです。というのも、在住外国人は出身国の友人や家族に対し、日本の街の様子や、日本での暮らしぶりなどを常に発信しています。

多くのブラジル人が多く暮らす「Oizumi」や「Toyohashi」といった地名が、ブラジルではメジャーな地名となっているのは有名な話です。とかく海外からの留学生は「民間大使」のように大切にされる一方、労働者として日本に暮らす外国人には、そうした意識が希薄になりがちなので注意が必要です。

さらに今後は外国人「への」広報ではなく、外国人「との」広報にシフトすることが求められます。情報の「提供・伝達」という一方通行の立場から「共有・交換」へとスイッチすることで、外国人と一体となった成熟した地域づくりができるでしょう。人種や国籍を問わず、誰もが地域社会を担う一員であるという市民意識を醸成する。それがこれからの広報戦略にとって、重要になっていくはずです。

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