自治体と住民の枠を超えて
「一億総活躍社会」「人生100年時代」「働き方改革」など、政府は明確でわかりやすいスローガンを掲げ、活気あふれる社会づくりに取り組んでいます。とりわけ各自治体にとっては、「地方創生」というキーワードが気になるのではないでしょうか。
全国1,719市町村のうち、2017年に転入超過となったのは東京都特別区部、大阪市、札幌市など408市町村で全体の23.7%。残りの76.3%は転出超過となっていて、規模の大小にかかわらず、多くの自治体が人口減少に苦しんでいます。
今後、人口減少を食い止め、地方創生を果たすうえで注目したいのが「シティプロモーション」という考え方です。近年、注目を浴びているシティプロモーションには「地域再生」「観光振興」「住民協働」など幅広い概念が含まれていますが、その目的は次の3つに集約されます。
1)地域イメージの向上=地域の知名度、ブランド価値の向上
2)交流人口の増加=地域への来訪者、地域で活動する人や団体の拡大
3)定住人口の増加=住民の地域への愛着心向上、転出者抑制と転入者の向上
3つの目的は、それぞれ単独に機能しているのではありません。互いに影響し合っているため、来訪者が増えれば定住者の増加が見込めますし、知名度が上がれば来訪者も増えていきます。
シティプロモーションを成功させるには、自治体の部署や職種の枠を超えて話し合える場が必要です。どんなコンテンツであればより魅力的に地域の情報を発信できるか、各職員が地元を愛する「一住民」として自由闊達に話し合うことで、プロモーションは一歩前進するでしょう。
自治体が一枚岩となったら、今度は住民の協力を得ることも重要です。ただ、何のテーマもなく単に住民を巻き込んでしまっては、自治体との温度差が生じる可能性もあります。そこで重要となるのが、2者の意識をまとめるための「スローガン」です。政府が掲げるような明確なスローガンがあれば、自治体と住民は一致団結しやすく、シティプロモーションをさらに前進させることにつながります。
まずは情報収集からはじめてみては
- 東京都の品川区は鉄道14路線、40駅を擁する区ですが、それだけに区外の人たちは「都市」というイメージが強く、「生活の場」としての認識が薄いのが現状です。そこで品川区は将来の人口減少を見据え、「子育て世代の定住促進」と「区民のプライドの醸成」を目的にシティプロモーションに力を入れはじめました。
その1つとして採り入れたのが、「MCCatalog+」を使用した広報誌のデジタル化です。紙離れの進む若い世代への伝達力を強化できるだけでなく、多言語化にも対応しているので約12,000人いる区内の外国人在住者へもリーチすることが可能です。しかもローコストで、将来的な拡張性の高さも見込めます。さまざまな情報を発信することで生活の場としての認識が高まれば、定住促進やプライド醸成につながることでしょう。
シティプロモーションの方法は無限にあるため、「何からはじめてよいかわからない」かもしれません。自治体有志によって「全国シティプロモーションサミット」というものが2013年より毎年開催されていて、さまざまな成功事例が発表されています。今年は佐賀で開催されることになっているため、そうしたイベントに参加するなど、まずは情報収集からはじめてみるのもよさそうです。
- 当社の提供している「MCCatalog+」は、日本語の観光ガイドやフリーペーパー、レストランメニューなどを簡単に多言語し、スマートフォンやタブレット端末で閲覧することができます。訪日観光客はもちろん日本で暮らす人々に、「MCCatalog+」を使って地域の大切な情報を発信してみてはいかがでしょう。