【専門家コラム Vol.22】外国人向け料理教室で人気を博す、包丁メーカー貝印の取り組み

コラム

2018/01/23

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2018/01/23

【専門家コラム Vol.22】外国人向け料理教室で人気を博す、包丁メーカー貝印の取り組み

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執筆:やまとごころ編集部

今年で創業110年。明治時代から刃物を専門に扱うメーカーとして業界を先導し、包丁の国内シェアトップを誇る貝印は、2015年より外国人向けの和食料理教室を開催している。メーカーでありながら、包丁を販売するだけでなく料理教室を通じて日本文化に触れる「コト」体験を提供する同社。こうした取り組みの背景にある理念や戦略とは一体どのようなものなのだろうか。

包丁メーカーが和食料理教室を始めた理由

近年、日本の包丁は外国人から人気を集めているが、中でも貝印が海外向けに展開する包丁は人気が高い。
  
約30年前から海外進出を始めている同社では、2000年以降、海外での売り上げが増大し、近年は国内でも訪日観光客による売り上げが目立ってきたという。その中で、せっかく高いお金を払ってハイスペックな包丁を買ってもらったとしても、正しい使い方がわからなければ、商品の魅力を十分に引き出せないという考えが芽生えた。
  
さらに、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことも後押しとなり、”必然的”に外国人向け料理教室を開催することになったという。

「だし巻き卵」で盛り上がる!? 外国人目線で展開するメニュー

「和食体験を通じて日本文化に触れてもらいたい」「伝統的な包丁技術を伝えていきたい」という思いから始めた和食料理教室「Kai House JAPANESE COOKING」では、英語を話す講師による調理指導はもちろん、用途によって異なる包丁を使うこと、調理におけるマナー、盛り付けに至るまでを教えている。また、自国に帰ってからも継続して作ってもらえるよう、比較的どの国でも手に入りやすい食材を使っている。

メニュー選定においては、盛り上がるポイントを設けることを意識しており、例えば、外国人にとってだし巻き卵を「巻く」という行程は難易度が高く、うまくできた時には盛り上がるという。日本人目線ではシンプルすぎると思うような家庭料理でも、外国人にとっては目新しく、喜ばれる傾向にあるということも忘れてはならないポイントだ。

外国人への「おもてなし」にも最適。料理教室のターゲティングと戦略とは

現在、グループを中心に受け入れている同社が和食料理教室でメインターゲットとしているのは、企業団体だ。外資系企業やIT企業、金融関係、メーカーなど、幅広い企業からの依頼があるという。
  
例えば、外資系企業では、海外からの来客時のおもてなしや、海外支社から来日した社員との交流に活用しているという。ただ食事をするだけよりも、一緒に料理を作った上で食べることにより、コミュニケーションが活発になり、交流が深まるというというのも頷ける。
  
また、料理教室では包丁研ぎ講座も開催しており、包丁の魅力を伝えることで商品の販売にもつなげている。

「和食」に対するニーズの変化と今後の取り組み

近年は、海外でも日本の調味料を調達しやすくなってきており、「ヘルシー」という印象が強い和食に人気が集まってきている。

そうした背景から、和食に対するニーズもただ「食べたい」から「作り方や材料まで知りたい」というより深いものへと変化している。それに伴い日本の包丁も注目を集め、何層もの素材を重ねて作る日本の刃物の構造や、メンテナンスにまで関心を抱く外国人が増えてきているという。
  
同社の包丁研ぎ講座は、彼らの要望を満たす絶好の場となっているようだ。また、最近では都内で開催された外国人を対象としたイベントに参加し、出張料理教室を行うなど、新しい試みへのさらなる一歩を踏み出している。
  
貝印のこうした取り組みは、ただモノを売るだけでなく、メーカーとして商品を中長期的に販売していく上で、土台となる文化や生活習慣を知ってもらい、体験してもらうということの重要性が示される好例と言えるだろう。さらに、創業110年を迎えた今もなお、先見性を持って進化を続ける同社の理念には、メーカーのみならず、インバウンド誘致を目指す組織にとっても学ぶべき要素がふんだんに詰め込まれているのではないだろうか。
  
※「Kai House JAPANESE COOKING」は、現在、グループ会社である株式会社ベリーニが運営する青山の「AMY’S」内で開催されています。

取材協力:貝印株式会社

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  • やまとごころ編集部

    株式会社やまとごころ メディア・コンテンツ事業部
    2007年より、インバウンドB to B 支援のための日本最大級のポータルサイト「やまとごころ.jp」を運営。「日本のインバウンドを熱くする」をモットーに、長年にわたりインバウンド業界に携わり続けた圧倒的な情報量と知見を活かし、インバウンド関連の最新情報を、日本全国のインバウンドに携わる企業・自治体の皆様に向けて発信し続けている。
      
    インバウンドポータルサイト「やまとごころ.jp」
    http://www.yamatogokoro.jp/

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