コラム
2017/10/30
自国にはない日本の自然と四季の移ろいを求めて ~国別にみる旅のスタイル・東南アジア編~
訪日外国人旅行者の増加といえば、中国・韓国・台湾・香港など東アジアからの旅行者を思い浮かべがちですが、実は東南アジアからの旅行者の増加も見逃せません。東南アジア6ヵ国(タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン、インドネシア、ベトナム)の2016年の年間訪日外国人旅行者数は、251万94人(JNTO 日本政府観光局調べ)。ヨーロッパ全体からの旅行者数142万2,032人をはるかに超えている現状です。
急拡大を続けるタイからの旅行者
東南アジアの国々のなかで最も訪日旅行者数が多いのはタイで、旅行者数は90万1,458人。アメリカの124万2702人に次いで、全体の第6位につけています。2012年には26万6,040人だった旅行者が、ここ4年間で3.3倍に拡大。2013年のタイ人に対するビザ免除が背景となり、日本に短期滞在しやすくなったのも増加の要因です。最近では、東京、関西、北海道、九州、沖縄など、全国各地の観光地で彼らを見かけるようになりました。このままいけば2017年には旅行者数100万人を突破することが予想されます。
これからの東南アジアからの旅行者の中心となるタイ人。彼らとコミュニケーションをとるためには、英語や中国語だけの翻訳対応は不十分です。平均的なタイ人の英語力はそれほど高くはありません。日常的に英語を使っているわけではないので、英語で書かれたパンフレットやウェブサイトを読むのに抵抗のある人は意外と多いようです。同じ情報でもタイ語で提供されていれば、率先してそちらを選ぶはず。タイ語での翻訳は今後需要が高まっていくことでしょう。
マレーシアからの旅行者の半数は日本がはじめて
続いて多いのは、マレーシアからの旅行者です。観光庁の2016年のデータによれば、マレーシアからの旅行者のうち、日本を初めて訪れる旅行者の割合は48.3%。約7割以上の旅行者が団体ツアーではなく、個人手配や個人旅行パッケージを利用しています。情報の収集源はもちろんインターネットです。
タイやインドネシア、シンガポールなど、近隣に2時間程度で気軽に行ける観光地がある彼らに対して、その3倍以上も時間がかかる日本をアピールするためには、他の観光地にはない日本だからこそ楽しめるコンテンツを効果的に伝え、日本旅行への動機づけを強めてもらうことが必要です。
シンガポールからの旅行者のリピート率の高さ
第3位のシンガポールは、マレーシアとはうって変わってリピーター客の割合が7割強。訪問回数6回以上のリピーターが約3割を占めます。2016年の訪日旅行者数は36万1,804人ですが、シンガポールの人口(シンガポール人永住者)が約393万人ということを考えると、非常に高い割合で日本を訪れていることがわかります。
平均泊数は8.0泊と際立って長いわけではありませんが、1週間あれば東京や京都、大阪など、日本の主だった観光地を巡ることができます。その上でリピーターとして再び日本を訪れているということであれば、まだ巡りきれてない地方へ足を伸ばしたり、気になった街に何日も滞在したりするといった楽しみ方をしているのかもしれません。また、1人あたりの旅行支出が163,210円と、東南アジア諸国のなかで最も高く、アジア全体をみても韓国や台湾よりも大きいのが特徴です。
東南アジアからの旅行者にとって日本はやや遠い観光地にあたりますが、東南アジアにはない美しい自然や四季の移ろいが魅力となっているようです。LCCのような運賃の安い路線が増えてきたことで日本を訪れやすくなったこともあり、東アジアに次ぐインバウンド市場として東南アジア諸国の動向から目が離せません。
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