団体旅行ツアーに制限がかかった中国人旅行者と今後の動向

コラム

2017/10/10

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2017/10/10

団体旅行ツアーに制限がかかった中国人旅行者と今後の動向

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2017年9月に、中国の地方都市を中心に訪日向けの団体旅行ツアーを制限するが動きが始まったというニュースがありました。
  
中国の観光当局が旅行会社に対して、団体旅行ツアーの取り扱いを減らすよう口頭で指導したとのこと。訪日向けの個人旅行(FIT)に関しては問題ないようなので、完全な渡航禁止というわけではないようです。今回の制限措置が取られた理由について、外貨流出を警戒して旅先での買い物が多い日本向けの旅行を制限したとの見方が出ていますが、正確な理由は不明です。

団体旅行から個人旅行者へシフトする2017年

日本政府観光局(JNTO)発表の統計データによれば、2016年の訪日外国人旅行者数は2,403万9,000人。そのうち、中国人旅行者数は637万2,000人。1人あたりの旅行支出は23万1,504円。中国人旅行者のうち4割強が団体旅行ツアーを利用している現状を考えると、今後の日本のインバウンド市場に大きな影響がでてくると考えられます。
  
以前のコラムで、2017年は韓国からの訪日外国人旅行者数の伸びが顕著で、中国からの旅行者数と拮抗しているというお話をしましたが、2017年は中国一強の状況が大きく変わる年なのかもしれません。
  
今回の制限がいつまで続くのかわかりませんが、中国は情勢に応じて国策として渡航制限を行う国。たとえば、現在も朝鮮半島の有事に備えて韓国への団体旅行を制限しています。そのため、韓国を訪れる中国人旅行者が激減し、韓国の観光業界に大きな打撃を与えています。
  
インバウンドに取り組もうとした際にターゲットを絞ることは大切ですが、今回の中国の渡航規制のように外的な要因で市場に想定外の変化が起こることがあります。このような市場の変化をこまめにチェックしつつ、リスクを分散するような戦略が必要です。

個人旅行者がリピーター化するために

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  • 団体旅行への規制はかかりましたが、中国からの個人旅行については現時点では制限がありません。ちょうど「爆買い」ブームが落ち着きを見せ始めている時期。中国人旅行者へのアプローチを変えるには良いタイミングなのかもしれません。

団体旅行やパッケージツアーに頼らない中国からの個人旅行者は、2016年時点でおよそ5割強。訪日2回目以上のリピーター客は、約3割程度です。これまでの中国人旅行者は団体ツアーを利用して初めての日本を訪れる層が中心だったわけですが、これからは中国人旅行者を無差別に狙う方法から、個人旅行者の個々のニーズに合わせてカスタマイズ化し、リピーター客として継続的に日本を訪れてもらうような働きかけが必要になります。

旅行者のニーズにあわせた情報発信

個人旅行者は趣味嗜好によって旅行スタイルやプランを決めるため、団体旅行ツアーと比べ旅の自由度が大きく異なります。時間とお金が許す限り、自分が行ってみたいところへ自由に行動します。
  
初めて訪れる国であれば、有名な観光名所を効率的に巡ることのできるパッケージツアーを利用するのが便利ですが、同じ国を2回、3回と訪れることになれば、より特別感のある旅行体験を求められます。そのため、日本の主要な観光地以外にも訪れる機会が増え、地方を観光するニーズも高まるでしょう。
  
日本には、外国人には知られていない魅力あるスポットがまだまだたくさんあります。訪日外国人旅行者を継続して招き入れるためには、その魅力をさらに発信していかなければなりません。

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