コラム
2017/10/03
滞在型観光のお手本といえる存在 ~国別にみる旅のスタイル・欧米編~
中国をはじめとした東アジアからの旅行者が大半を占める訪日外国人旅行者。それに比べると欧米からの旅行者の割合はとても小さいのが現状です。ですが、欧米からの旅行者はアジアからの旅行者とは違う楽しみ方をしていて、数が少ないとはいえ決して無視できない存在。そんな彼らの旅のスタイルというのはどのようなものなのでしょうか。
全体に占める割合は少ないけれど
2016年に日本を訪れたヨーロッパ圏からの訪日旅行者数のランキングは、1位・英国(29万2千人)、2位・フランス(25万3千人)、3位・ドイツ(18万3千人)、4位・イタリア(11万9千人)、5位・スペイン(9万1千人)となっています。アメリカは、124万2千人、オーストラリアは44万5千人です。
この数字だけをみてみると、欧米圏から多くの旅行者が日本を訪れているように思えます。しかし、中国からの訪日旅行者数は、およそ637万人。ヨーロッパ・アメリカ・オセアニアの各国の旅行者数を足し合わせても、最も多い中国には及びません。
日本での滞在日数は10日以上
観光庁「訪日外国人消費動向(平成29年4-6月期)」のデータによれば、中国人旅行者は、旅行予算の半分以上(58.2%)を買物に使います。他の東アジアの国々も同様で、買物代が占める割合が支出の1位となっているところがほとんど。中国ほど顕著ではありませんが、買物代におよそ3割以上の予算をあてています。
- 一方、欧米の国々をみてみると、買い物代にあてる予算は2割以下。宿泊料金、飲食費、交通費の割合が多いのが特徴的です。「爆買い」の勢いが収まったとはいえ、アジア圏の旅行者の訪日目的は、やはりショッピング。それに対して、アメリカやヨーロッパの国々からの旅行者は、日本の自然や文化・歴史に触れてみたいという意向が強いようです。
これは滞在日数を比較しても読み取れることで、欧米圏の平均宿泊数は10日以上。最も長いのはロシアで16.2泊、次いでスペイン14.8泊、アメリカ13.6泊と続きます。アジア圏の平均宿泊数はおよそ7日間程度。韓国にいたっては、わずか3.6日です。欧米とアジアの旅行者では、滞在日数におよそ2倍以上の開きがあると考えてよいでしょう。
日本全国を巡る欧米からの旅行者
宿泊料金、飲食費、交通費の割合が多く、平均宿泊数が長いという事実から、どのようなことが読み取れるでしょうか。それは、欧米からの旅行者は日本の大都市やメジャーな観光地だけでなく、地方都市へも足を運んでくれる存在だということです。
自然や文化を求めて日本にやってくるわけですから、当然、大都市圏だけの観光では物足りないはずです。たとえば、東京を訪れたらなら、加えて箱根や日光も。京都を訪れたなら、さらに奈良や和歌山へも足を伸ばすでしょう。個人旅行が大半を占める欧米からの旅行者は、むしろ最初からディープな日本を求めているのかもしれません。
訪日外国人旅行者数4,000万人達成の目標に向かって、数の拡大について注目が集まっていますが、今後は量とともに質も重視されます。そんなときに日本の自然や文化を楽しみ、滞在型観光のスタイルで旅をする彼らの動向は、大きなヒントを与えてくれるはずです。全体に占める割合はまだまだ少ないですが、積極的に日本を巡る欧米からの旅行者の動きに注目です。
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