コラム
2017/06/14
“爆買い”にも変化の兆し ~国別にみる旅のスタイル・中国編~
2016年の訪日外国人旅行者数のうち、中国人旅行者の数は637万2,948人。訪日外国人旅行者全体に占める割合は26.5%で、4人に1人は中国からの旅行者という現状です。そんな彼らの旅のスタイルを観光庁「訪日外国人消費動向(平成28年年次報告書)」のデータをもとについて探っていきます。
旅行支出額の半分以上が買物代
中国人旅行者といえば、”爆買い”といわれる活発な消費行動がまず思い浮かべます。その現象は2015年の新語・流行語大賞にも選ばれたほどでした。しかし、2015年には161,973円だった買物代は、2016年には122,895円へと減少してしまいます。それでも、買物代の割合は一人あたり旅行支出総額(231,504円)の53%を占めています。同じく2016年の全国籍・地域の買物代平均が59,323円ですから、訪日外国人旅行者のなかで中国人旅行者が買物に強い関心を持っていることには変わりがないでしょう。
では、中国人旅行者は日本滞在中にどのようなものを買っているのでしょうか?
最も多かったのは「化粧品・香水」の購入率75.9%、次いで「医薬品・健康グッズ・トイレタリー」72.5%、「菓子類」67.5%、「その他食品・酒・たばこ」56.9%、「服(和服以外)・かばん・靴」45.3%と続きます。”爆買い”といえば、電化製品の大量購入のイメージが強いですが、実際は「電化製品」は30.5%、「カメラ・ビデオカメラ・時計」16.0%という購入率でした。高額商品である家電製品、カメラ、時計などへの支出が減る一方で、化粧品やトイレタリー製品など日常品の購買が増えているのが最近の傾向です。
買い物は高額商品から日常品へ
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- 訪日回数をみてみると、訪日中国人旅行者数637万2,948人のうち、訪日1回目が59.0%、訪日2~5回目が30.5%、訪日6回以上が10.5%という割合です。日本を訪れるのが初めてという旅行者が他地域に比べて多いのが中国の特徴ですが、それでも、訪日2回以上のリピーター客も着実に増えています。
旅行消費額の減少は、円高・元安の為替相場の変動によるところも大きいですが、それに加えてリピーター客増加による購買目的の変化もあげられるでしょう。
日本を訪れるのが初めてであれば、まずは日本の電化製品やカメラなど高額書品に注目が集まりますが、それらは頻繁に購入する必要があるものでもありません。訪日2回目、3回目となると、化粧品や香水、トイレタリー製品、お菓子などの日常品や消耗品の購入頻度が高まっていきます。
中国人は身近な人間関係を大事にしますので、お土産の購入も大事な旅の要素です。日本を旅行した家族や友人からお土産として貰った日本の日常品や消耗品のファンになり、自分が日本を旅行した際にそれらをリピート買いするということもあるでしょう。旅行前に役に立った情報源として「SNS」や「自国の親族・知人のクチコミ」を挙げる割合も高く、このような役に立つ日本の日常品や消耗品の情報は私たちが考えている以上に流通しているのかもしれません。
リピーターが求めるのは魅力的な体験やサービス
広まっているのは、商品の情報だけではありません。現在の中国人旅行者の旅のスタイルといえば「団体旅行で1週間未満の滞在、目的は買い物」ですが、今後、リピーターの割合が増えてくれば、買い物だけでなく日本でしかできない体験に興味が広がってくると考えられます。そのようなリピーターに対して魅力的な体験やサービスを提供できるかが、今後のインバウンド対策のカギになってきます。
今まで日本に来たことのない中国人に来日してもらうよりも、すでに日本を訪れたことのあるリピーターに何度も足を運んでもらうことのほうが、観光産業の持続的な発展には不可欠です。「中国人旅行者は買い物目的」と、これまでの常識に縛られることなく、彼らにとって興味のある情報を提供していくことがさらに求められるでしょう。
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