過去最多2,404万人の訪日外国人旅行者が訪れた2016年。前回のコラムに引き続き、観光庁が2017年3月に発表した「訪日外国人消費動向(平成28年年次報告書)」のデータをもとに旅行者の旅のスタイルを探っていきます。
出身国によって違いが明確なお金の使い方
2016年の訪日外国人旅行者が旅行にかけた支出は、一人当たり155,896円。東日本大震災以降、支出額は増加傾向にありましたが、2015年の176,167円をピークに、2016年は前年比11.5%減という結果となりました。内訳をみると、支出額減少に大きく影響したのは、買い物代。2015年には平均73,662円だった買い物代が、2016年には59,323円に減っています。
国籍別・地域別の一人当たり旅行支出をみると、最も旅行消費額が多いのがオーストラリアの246,866円。次いで、中国の231,504円、スペインの224,072円、イタリアの198,000円、ロシアの190,874円と続きます。
ヨーロッパの国々やオーストラリアの支出が多いのは、日本に滞在する期間が長く、おのずと宿泊料金の割合が増えるためです。一方で、中国の支出額の大半は買い物代によるもの。旅行支出の53.1%にあたる122,895円が買い物に充てられています。2016年は「爆買い」と言われる現象が落ち着きをみせた年でしたが、中国人旅行者に関してはいえば、まだまだ日本での買い物に関心があるようです。
訪日外国人旅行者の9割が日本への再訪を希望
訪日外国人旅行者の満足度をみると、「大変満足」が50.4 %、「満足」が42.7%と、9割以上の旅行者が日本での旅行に満足したと回答しています。
満足度が高いのは、欧米の国。イギリスやアメリカ、ロシア、オーストラリアは「大変満足」の割合が8割を超えるほどです。一方、訪日外国人旅行者数の多い東アジアの国々は、満足度は高いものの「大変満足」と回答しているのは約4割程度。この違いは、長期滞在が多い欧米の国々と短期間で日本各地を巡る東アジアの国々の、旅のスタイルの違いによるものかもしれません。
再び日本を訪れたいかと尋ねてみると、「必ず来たい」が59.3%、「来たい」が34.2%との回答で、9割以上の訪日外国人旅行者が日本への再訪を望んでいます。2020年までに訪日外国人旅行者数4,000万人を目標として掲げている今、日本を再び訪れてくれるリピーター客の動向が目標達成に大きく影響するわけですが、この結果をみると、まだまだ伸びしろがあると考えて良いでしょう。
日本でやりたいことは、日本人と同じような日常的な体験
それでは、訪日外国人旅行者は、日本滞在中にどんなことを楽しんでいるのでしょうか? 訪日前に最も期待していたことを尋ねてみると、人気が高い順に「日本食を食べること」26.4%、「自然・景勝地観光」16.4%、「ショッピング」14.4%、「温泉入浴」8.1%と並びます。
前回のコラムでも触れたように、これからの訪日観光の主流は、旅行に必要な航空チケットを自分で申込み、旅のスケジュールを自由に組み立てる個人旅行者たちです。彼らの旅の情報源は、すでに日本を訪れたことのある友人や家族の体験談や、インターネットやSNSに投稿された情報。今後リピーター客の割合が増えていけば、私たちが考えている以上に日本人の普段の生活に近い日常的な体験を求めてくるでしょう。
彼らが日本の旅をより楽しめるように、観光スポットや体験プログラム、交通アクセスなどの情報発信を、さらに充実させていかなければなりません。
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