【専門家コラム Vol.12】ちょっと寒そうな体験型観光

コラム

2017/03/21

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2017/03/21

【専門家コラム Vol.12】ちょっと寒そうな体験型観光

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執筆:太田正隆/JTB総合研究所 主任研究員

冬の寒さが緩んだある日の京都を訪れた。この日は6回目となる京都マラソン当日でもあり、総勢17,000人が古都を疾走。京都新聞や毎日新聞等の報道によれば、沿道は50万人の人出、29ヵ国、アジアを中心に2,500人を超える海外からの参加もあったそうである。

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試しに河原町・御池の京都市役所前から二条通りを経て、ゴールの岡崎・平安神宮まで歩いてみた。

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沿道には多くの欧米やアジアからのマラソンを観戦しながら写真を撮る外国人観光客や、外国語で応援する人々がいる。記録をみると年々参加者の外国人が増加しているそうだ。マラソンのついでに観光なのか、観光のついでに観光なのかいずれにしてもこれらも「体験型観光」ともいうべき現象である。
  
ちなみに今年で45回目を迎える日本人になじみの深いホノルルマラソンの記録を見ると、2015年では参加総数30,782人に対して日本人は12,532人とあり、年々増加している。
  
スポーツ等の体験を伴う観光はサイクリングやラフティング、トレッキングやスキー等、近年では様々な楽しみ方がある。そんな中、マラソン競技から離れて祇園あたりを散策する中で、日本人にも人気の「和服で古都観光」という体験型観光に遭遇した。
  
改めて見ると街中にはいたるところに着物のディスプレーとともに「RENTAL KIMONO」の表示。事前予約なしの当日OK。

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カップル向けプランなど安くてお気軽感が満載。

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そして遭遇した和服姿の訪日外国人観光客、人気がある。しかしながら若干の違和感……。筆者だけではなく、同行した京都在住の友人も同様の印象。ダウンジャケット姿で記念撮影する観光客の横を、軽やかに階段を降りる和服女性のコントラスト。

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韓国語で話をしながら自撮りをする熱いカップル。

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そして毛布に見えるショールを掛けて足早に走り去る二人の和服女子。

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その原因は、華やかで浴衣に見える色と柄であろう。本物の和服をレンタルするにはリスクが高いことと洗濯代金だけも高額になるため、和服のお手軽レンタルはこうした形態になるのだろうと同行した友人談で納得。しかしながら「KIMONOは寒い装いで我慢強い日本人!?」と誤解されてもなあ、という若干の懸念が残った古都京都の出来事。

  • 太田正隆JTB総合研究所 主任研究員

    インバウンド及びコンベンションの企画運営を始め、企業ミーティング、インセンティブ、トレードショー、イベント等に長年従事。各国のMICE事情、地域のMICE戦略策定、MICEビジネス構築、誘致計画、プロモーション計画の策定やマネージメント、マーケティング等、日本における数少ないMICEのエキスパート。

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