2016年の訪日外国人旅行者数は2,400万人を超えましたが、政府がすすめる「明日の日本を支える観光ビジョン」では、2020年に4,000万人、2030年には6,000万人にするという目標を掲げています。しかし、2016年の伸び率は2015年の47.1%に比べ、21.8%へ減少。2014年の伸び率が29.4%ですから、それすらも下回る状況です。
成長の勢いにはやや衰えが見えて来ましたが、必要以上に悲観する必要はありません。これまで急激な成長を見せていたインバウンドが一旦落ち着きをみせ、安定した成長へ移行する過渡期とみるべきでしょう。
日本人の日常は、訪日外国人旅行者にとっての非日常
今後継続可能な成長へとつなげるためには、新規訪問客の確保だけでなく、リピーター客へとなってもらうことが重要です。観光庁の統計データ(2016年10-12月期)によれば、訪日外国人旅行者のうち、日本を初めて訪れる人の割合は38.4%。残りの6割はすでに何度か日本を訪れているリピーターです。彼らを飽きさせることなく、定期的に日本に訪れてもらうにはどのようなことに気をつければよいのでしょうか。
外国人に限らず、人が旅をするのは日常では味わえない刺激を味わうため。知らない世界を見てみたいという素直な動機があってこそです。買い物目的の「爆買い」が注目されましたが、旅の目的としては、むしろこちらが例外だったのかもしれません。
初めて日本を訪れる場合、これから見るものすべてが初めてなものばかりですから、訪問先への興味はとても強い状態です。そして、日本を実際に訪れ観光地を巡ったあとは、興味の度合はどうしても下がってしまいます。
たとえば、観光地の多くは豊かな自然をアピールポイントとして挙げますが、一度見た外国人が、再びその自然を目当てに日本を訪れてくれるでしょうか。リピーターになってもらうためには、よほどの感動体験か、彼らがまた訪れたくなるような仕掛けを用意する必要があります。
訪日外国人旅行者が求めるのは、非日常の体験。それはつまり、私たち日本人の日常の暮らしです。
食生活、住環境、街並み、様々な行事や風習。日本人にとっては当たり前なことでも、外国人にとっては新鮮なことばかり。それらを体験してもらうことができたら、その土地が持つ歴史的、文化的魅力に興味を持ってくれるでしょう。暮らしというものは、一度体験してすべてを理解できるものでもありません。もっと知りたい、体験してみたいという気持ちを持ってもらうことが、リピーターになってもらうための第一歩です。
私たちの暮らしをインバウンドコンテンツとするために
- 「インバウンドはモノ消費からコト消費へ」というフレーズを聞くことが多くなりましたが、コト消費は何も特別な体験を用意することだけではありません。私たちの暮らし自体が訪日外国人旅行者にとって興味の対象なのです。
暮らしがコンテンツとなりうるといっても、つまらない暮らしの場所には誰も訪れようとは思いません。その土地に住む人たちが地域に対して愛着を持ち楽しく暮らしていてこそ、訪れた訪日外国人旅行者もその土地の魅力に興味を持つのです。
その土地の暮らしを伝えるのに、地域の人たち向けのタウンガイドを活用する方法があります。印刷物のデータをタブレット端末やスマートフォンで閲覧できる当社のMCCatalog+を使うと、レイアウトデザインを崩さずに英語や中国語などの翻訳表示ができます。いつものタウンガイドが、訪日外国人旅行者へ日本人の暮らしを伝えるためのツールに早変わり。地域の魅力が詰まった情報源となります。