増え続ける訪日外国人旅行者と多言語翻訳の課題

コラム

2016/11/30

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2016/11/30

増え続ける訪日外国人旅行者と多言語翻訳の課題

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2016年10月末までの累計で2,000万人を突破した訪日外国人旅行者数。今年は中国からの旅行者の増加が顕著で、その点ばかりをつい注目しがちですが、他の国々からの旅行者も全体的に増えています。
  
訪日外国人旅行者の増加にともなって、外国人とのコミュニケーションをとる機会が様々なシーンで増えています。外国人とのコミュニケーションといっても、その母国語はさまざま。おのずと様々な言語での対応が求められるわけですが、では、どのように準備を進めていけばよいのでしょうか?

外国語対応は英語だけじゃ不十分

外国人とのコミュニケーションというと、まず思い浮かべるのは英語です。交通や金融の分野を中心に国際共通語として使われる英語は、母国語として使う人口の割合も多く、外国人とのコミュニケーションを考えた際に、最初に対応しなければならない言語です。
  
だからといって「英語対応=インバウンド対応」といかないのが難しいところ。前回のコラムでもご紹介したとおり、最近の訪日外国人旅行者で多いのは、中国・韓国・台湾・香港といった東アジアからの旅行者です。中国語や韓国語でのコミュニケーションは、すでに英語と同じくらいの重要なものになっていると考えてよいでしょう。
  
また、長期滞在して日本を楽しむことが多いヨーロッパからの旅行者には、それぞれの母国語(フランス語・ドイツ語・イタリア語など)で対応できれば、彼らの旅の満足度が上がるでしょうし、これからの増加が見込める東南アジア各国の言語についても対応を検討すべきです。

多言語翻訳の課題は「費用」と「時間」

日本を訪れる外国人旅行者の母国語すべてに対応できれば、それに越したことはありませんが、それは簡単なことではありません。多言語対応には様々な制約があるからです。
  
まずは、挙げられるのは翻訳の費用です。パンフレットやチラシなど翻訳したツールを用意しようとすると、言語ごとに翻訳をしなければなりません。翻訳は1文字あたりいくらという料金体系が一般的で、翻訳する内容が専門的になれば単価も高くなります。文字数が増えればそれだけ費用がかさみますし、複数の言語、たとえば5つの言語で翻訳を行えば、翻訳の費用は5倍かかることになります。
  
また、翻訳にかかる時間と労力もネックになり得ます。翻訳には元となる日本語の原稿が必要ですが、多くの場合、日本語のパンフレットやチラシができあがってから、それを翻訳して外国語版の印刷物を制作するのが一般的です。文章やデザインなど、こだわりたいポイントはたくさんありますから、日本語版のパンフレットを作るだけでも大変な労力がかかります。そのあとでようやく外国語版のパンフレットにとりかかるわけですから、おのずと制作期間は長くなり、スピーディーなアクションは難しくなります。
  
また、同じ文章でも言語が異なれば文字数が変わります。日本語できれいにまとまったデザイン、日本語特有の縦組みの場合でも、英語や中国語に翻訳したら文字数が変わりレイアウトを作り直すというのはよくある話。そのような言語ごとの細かい修正を経て、ようやく外国語版のパンフレットが完成するわけです。

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このように多言語対応といっても費用や労力、時間を考えれば、すべての言語に対応するのは現実的に難しいのが現状。であれば考えるべきは選択と集中です。
  
タブレット端末やスマートフォンで閲覧できる当社のMCCatalog+を使って、英語、中国語、韓国語、タイ語に翻訳されたツールを低コストで用意し、そのうえで、ターゲットとしている国からの旅行者については、彼らの母国語を話せるスタッフを増やしたり、対象言語のツールを重点的に整備したりするなどの施策を行うことをおすすめです。

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