外国人旅行者が日本を訪れる際に、航空チケットや宿泊場所などの手配が必要になります。海外旅行の手配といえば、旅行会社が企画した団体ツアーが思い浮かびますが、それ以外にも個人で直接手配する方法や個人旅行パッケージを利用する方法もあります。特に、個人手配の旅行は、FIT(Foreign Independent Travel)とも呼ばれ、費用面では団体料金の適用がないためパックツアーより高くなりますが、旅の自由度が格段にあがるため、近年人気を集めています。
年々増え続ける個人旅行
個人旅行者の比率を国別に比べてみると、欧米各国では総じて高い傾向にあります。団体ツアーの割合が多い中国の場合でも、団体ツアー利用の割合は56.2%。およそ4割は個人旅行者が占めています。日本を再度訪れるリピーターが増えるに連れ、個人旅行者の割合もさらに増えていくことでしょう。
団体旅行ではスケジュールもかなりの部分が固定されていて、自由行動時間はあってもやはり行動範囲はかなり限定されてしまいます。それに対して個人旅行は、当然ながら時間とお金が許す限り、自由に行動できます。訪日外国人が日本でやりたいことといえば「日本食を食べること」「買い物をすること」「景勝地を巡ること」「日本独特の文化に触れること」などなど。多少行くのに時間がかかる場所であったとしても「行きたい!」と思った場所に行くことができるのが個人旅行の最大のメリットです。
団体旅行が主流だったころ、訪日外国人を誘客するためには、自分たちの観光施設や宿泊施設をコースに組み込んでもらうよう旅行代理店に対して交渉をすればよかったわけですが、個人旅行が訪日観光の主流になってくると、個人旅行者に直接選んでもらえるよう情報を発信していかなければなりません。
旅行手配はインターネットで
- 個人旅行の訪日客は、行き先をはじめ旅先の情報のすべてを自分自身で集めます。そこで役立つのがインターネットです。旅は入国前からすでに始まっていますが、チケットの手配を「旅行会社や航空会社の店頭で申し込んだ人」と「インターネットから申し込んだ人」の割合を比べると、今やどの国や地域でも「インターネットからの申し込んだ人」が半数以上を占めています。
そんな個人旅行時代、インターネット時代の宿選びの代表例が、Airbnb(エアビーアンドビー)といえるでしょう。2008年の創業以来、爆発的な勢いでサービスを拡大しているAirbnbは、世界中に空き部屋などを持つ宿泊場所の提供者(ホスト)と宿泊場所を探している旅行者(ゲスト)をつなぐ、インターネット上のプラットフォームです。宿を提供するホストとの交流によって、その土地ならでは、その人ならではの体験ができるのが最大の魅力。自分らしい旅がしたい個人旅行者から支持されるのもうなずけます。また、最近増えつつある空き家や空きビルをリノベーションしたゲストハウスでも、バックパッカーや長期滞在をする個人旅行者の利用が増えつつあります。
Airbnbにしてもゲストハウスにしても、宿の予約の大半はインターネット経由。宿を訪れた旅行者は宿で過ごす様子を写真に撮ってSNSやブログに投稿します。そして、その投稿を別の個人旅行者が見て、次の宿泊先に決める参考にする。宿選び以外にも、観光施設や飲食店、交通情報など、訪日旅行者が旅先で調べることはたくさんあります。個人旅行にとってのインターネットとスマートフォンが必要不可欠な存在になりつつあるなか、個人旅行者向けの多言語対応の情報発信へのニーズも高まっています。