国別・出身地別で異なる日本での観光ルート

コラム

2016/04/28

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2016/04/28

国別・出身地別で異なる日本での観光ルート

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ひとくちに訪日外国人旅行者といっても、日本での旅の過ごし方は様々です。このコラムでは、日本を訪れる外国人旅行者の観光ルートについて、観光庁が2016年4月に発表した「訪日外国人消費動向(平成27年年次報告書)」のデータをもとに、その傾向を探っていきます。

地方空港にみるインバウンド観光

日本は海に囲まれた島国のため、入国するには空路か海路のいずれかを利用します。利用率の高いのは成田空港(約35%)、関西空港(約22%)、羽田空港(約13%)。多くの国際線が就航しているためでしょうか、この3つの空港で入国者数の7割を占めています。かつては利用率50%を超え、”日本の玄関口”であった成田空港も、羽田空港の国際化や地方空港へのLCC(格安航空会社)の乗り入れ増加により、近年はシェアを落としつつあります。
 
地方空港での出入国状況をみてみると、たとえば、新千歳空港のタイからの利用者が多く、タイからの旅行者だけで比べてみれば羽田空港を利用する人数とほぼ同数です。仙台空港は台湾と韓国の利用率が高く、茨城空港を利用する訪日外国人のうち9割以上が中国からの利用者です。また、海路の利用をみてみると、利用者が最も多いのは博多港ですが、その約8割が韓国からの旅行者です。

アジア圏は短め、ヨーロッパ圏は長めの滞在日数

日本への入り口が国や地域で違うように、訪日外国人旅行者が宿泊する地域や日数にも特徴があります。観光やレジャーを目的とした場合、平均宿泊数は5.9泊。滞在日数の分布でみると6日以内の短期滞在者が6割以上を占めます。
 
しかし、国別にみると、韓国では「滞在期間3日間以内」の旅行者の割合が36.1%と、他の国や地域に比べて高いのが特徴的です。ちなみに、韓国と同じように日本に比較的近い台湾の「滞在期間3日間以内」という旅行者は3.7%。台湾からの旅行者は団体ツアーを利用することが多いですが、韓国からの旅行者は旅行の手配を自分自身で行ったり個人旅行のパッケージを使ったりすることが多いようです。日本への距離が近いということもありますが「日本は気軽に訪れる身近な国」という認識が韓国の人たちのなかにあるのかもしれません。アジア圏に比べヨーロッパ圏からの旅行者の滞在日数は長く、フランスやスペインからの旅行者のうち4割以上が2週間以上日本に滞在しています。

台湾からの旅行者は日本の地方を巡る?!

  • 訪日外国人宿泊客が多い順に並べると、中国、台湾、韓国の順ですが、これを各都道府県別でさらに詳しくみてみると、また違った傾向が読み取れます。東京、大阪、名古屋の三大都市圏では中国からの宿泊客が最も多いですが、北海道、東北、北陸、四国などの地方では台湾からの宿泊客が多く、九州は韓国からの宿泊客が多いという傾向があります。
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短期滞在の割合が多い韓国からの旅行者は、北九州空港や博多港から日本へ入国し、九州エリアに宿泊しながら、入国と同じように北九州空港や博多港から出国すると考えられます。中国に比べ台湾からの旅行者が日本の各地へ足を伸ばしているのは、訪日のリピート率が高いことが関係するのかもしれません。中国からの旅行者のうち、日本を初めて訪れる割合は約6割ですが、台湾では約2割。台湾からの旅行者は、すでに東京や大阪、京都などいわゆるゴールデンルートの観光地を体験済みで、より日本のディープな文化に触れようと日本各地を巡っているとのだと考えられます。
 
 
訪日外国人旅行者といっても、利用する空港や港、宿泊日数や宿泊地は、出身国や地域によって異なります。インバウンド施策を考える時、あなたの身近に訪れる外国人旅行者のみなさんが、どのように訪れて、どのように日本で過ごすのか、想像を膨らませてみるとよいでしょう。

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